春の出会いと思い出

青い空 白い雲 そしてこれから赤、黄、橙などの季節が巡ろうとしてくる

でもまだ 暑い日々は続く、そんな気がした

ここ日本は四つの四季がある

桜の花が咲き誇り 新しい命の芽生え 街全体を桃色に染めていく 春

梅雨から太陽が燦燦と照りつける 蝉が一週間という間なき続ける 夏

赤、黄、橙 のグラデーションが奏でる紅葉 果実が美味しい時期 秋

深々と降り積もる真っ白の雪が辺り一面白く染める 美しい世界  冬


私は読みかけていた本を閉じた
ミググが側で色々と資料をまとめている もうここに来て6ヶ月
早いものね そう思いコーヒーを口にいれた
まだ子供なのでカフェオレなんだが

あれはいつだったか

そう、今年の春 私とミググはここ地球にやってきた
目的は言えないが 企業秘密ともカモフラージュしておく事にする

そして 振り返る あの春の日々を

桜 咲き乱れ 美しき春の日々

____2012 春 地球の何処か

???
「桜、終わったのかな〜? 咲いてないよ」

ミググ
「そうですね、時期が遅かったのかしら?」

そう言ってミググは「花図鑑」を読んでいた
生憎、私は植物に興味が無い 食べ物 いわゆる「花より団子」だ

???
「それより、お団子はどこ? さっき買ったよね。」

ミググは笑いながらカバンから三色団子を私に差し出した
ついでだがお茶も出てきた さすが私の執事である 気がきく
子供私が言うのは可笑しいのかな?

三色団子を口にほおばりながら私は葉桜になりかけた桜の木を見上げた
見たかったな・・・ 少し残念に思った

???
「ここで何をしているんですか?」

突然、地球人が話しかけてきた
ミググは驚かず騒がず 訳をその地球人に話しはじめた

見た目は小学校、3〜4年生 つまり私の1つ2つ上の女の子だった
黄緑色のキゃスケット帽子を深めにかぶってこちらから表情が見えないが
これが地球人の女の子、か 少し興味がある
私もミググに寄り添った

女の子
「ふむ、なるほどね、つまりお姉さんたちは桜が見たいのね。」

ミググ
「そうなんです、生憎他の国から来ましたから。わからなくて」

女の子
「う〜ん、ここは残念だけど、他にもあるんだ教えてあげるよ」

???
「本当!? これでお花見ができる」

女の子
「あれ? もう一人、まぁいっか じゃあついてきて」

「こっちだよ」そう言ってリュックサックを背負っている女の子に私たちはついて行く事にした
悪い子ではなさそうだ、でも気になることがあった あのリュックの中身が知りたい
時々、モゾモゾ動いているような、動いてないような

女の子
「そうそう、まだ名前いってなかったね、私の名前は 愛歌(まなか)だよ 」

ミググ
「私はミグーナ=ラウトス・ファネル、ミグと呼ばれています。
 こちらは私の主人です。 名前は匿名なので」

愛歌
「え!? 姉妹ににも見えないなって思ってたけど この子があなたのご主人様なの?」

???
「そうだよ、でも名前呼びにくいと思うからフィアでいいよ。みんなにもそう呼ばれているしね。」

「すごーい。桃姉みたいだ!!」そう言って私と愛歌の間で会話がなりたった
やっぱり地球は面白いところだわ そう確信した
話している間に 彼女の言う秘密の場所に到着した

なんて美しいの・・・・私は言葉を失った

愛歌が「どう?綺麗でしょ?」と得意げに言った
ミググは「美しいですね、やはり本物が一番ですね。」といってお花見の準備を始める

秘密の場所 そこはあんまり人が来ない場所で彼女の隠れ家というか秘密基地みたいだった
小さな丘の上に大きくそして花びら一枚一枚に桃色で染め上げられている

もぞ・・・ またリュックが動き出す

???
「ねぇ、愛歌さん、そのリュック何が入っているの?」

すると彼女は驚いたように、というか冷や汗をかきながら
「な、な、何でもないよ〜 ただのリュックだよ〜」と言っていたが、明らかに嘘である

ミググが「お嬢様、人は隠したい物だってあるんですよ〜」言って私と愛歌の会話を止めさせた
といっても、私たちも本当は嘘をついている なぜなら人間ではないのだから
他の形の「宇宙人」だから

お花見の準備ができたようだ
私は早速我先と三色団子を口に入れた

ほんわり漂う桜の花の香り
辺り一面桜の花びらが降りそそぐ 地面は桃色に染まっていく

ずっとこんのままでいたい

私はあまりの美味しさに目を輝かせた

・・・

つい 気が緩んでしまった

私の体は「人間」という体でなくなってしまった

顔はもちろん、体も小さくなっていき 私は「ケロン体」という体になってしまった

ミググは焦っていた 

愛歌は始めは驚いていたが「知っていたよ」って言う顔でこちらを見ていた

ミググ
「これは、その・・・あの。」

焦る私とミググに 愛歌は隠していたリュックを開けた
そこには私と同じ 「ケロン人」がいた

私とミググは驚くばかりだった
なんせ、あれほど隠していた「ケロン体」というものが
愛歌の彼女の背中に入っていることになるなんて

リュックの中から出てきたのは
肌の色は私と同じピンク色の体 青色の目 
黄色い帽子をかぶり耳には水色の宝石が飾られてあった

そっくり、でも何処かが違う そんな気がした

彼女の名はチュララ

何故だか愛歌と一緒にいるらしい
驚くことはないが うれしい気持ちもあった

愛歌
「最初出合ったとき、まさかとは思ったんだ。 貴方達もケロン人だったなんてね。そうでしょう? ミグーナさん。」

ミググ
「その通りです。 私も、なんですけどね。御見それしましたわ。」

あえてミググは地球人スーツを解除しなかった
まぁ、彼女が気にっているので文句は言わない
ミググと愛歌は話を続けている 「人間」という形で

私は少しの間 チュララと会話をする事にした
情報を得るため 

話をしている間 まだお花見は続いていた
こんな事でせっかくのお花見を台無しにはしたくない

三色団子をチュララに渡した

チュララ
「まさかとは思ったんだけどね〜 リュックの隙間から見ていたんだよ。」

???
「そうなの、ところで・・・」

私は聞き込みを開始した
内容は「魔女について」 ついでに彼女の両親やほかのことも聴く事にしよう

チュララ
「『魔女』? 聞いた事、あるかも 確かあれは・・・」

???
「やっぱり知っているの? 『魔女』の事。」

チュララ
「うん、詳しくってわけじゃないけどね。先日ケロン星のケロン軍から脱走兵が抜け出したんだ」

???
「それって、何か関係でもあるの?」

チュララ
「まぁ、聞いてよ、これが以外に繋がってるんだって パパが言っていたんだよね〜」

???
「チュララのお父さんって・・・・」

チュララ
「あ、あ、これは内緒なの。 自分でも戯れ事には遭いたくないから。」

「話を戻すね。」そう言って彼女の両親のことは聞き出せなかった
本人自身嫌がっているように見えた 何故だろう?

チュララ
「その『脱走兵』が鍵なんだよ。その、つまり『魔女』のスパイなんじゃないかって。」

???
「『脱走兵』=『スパイ』ねぇ・・・そのスパイってどっち側の?」

チュララ
「勿論、『魔女』の方だと思うんだ。 あとこんな事聞いたな」

彼女曰く、その『魔女』はケロン軍を嫌い ある意味軍から逃げている 
犯罪者なのか 罪人なのかは詳しくは教えてえくれなかった というか私にも正直、理解が難しかった 

それがどうして『スパイ=脱走兵』と繋がっているのだろうか?

私の結論が正しければ 
『その脱走兵はケロン軍に魔女のスパイとして侵入し数年間そこで軍のことを調べ上げた。勿論連絡は取れないはずだケロン軍の電波はあらゆるところまで行き交っている。少しでも外部に届けばバレる可能性が高く魔女自身も危ない。そして今回脱走兵は今までのデータと形跡を奪って逃げ出してきた 魔女に情報を持っていくために』


こんなものであろうか?
いや、こんなに筋が通るわけではけしてない あくまで仮としての結論だ
しかし、彼女、チュララもそんなことを知ってるなんて、ましてや軍人の娘なのかもしれない。
私は少し冷や汗をかいた こんな事をやっていたらここに来た理由が『観光』ではなくなってしまう
あくまで『観光』としてなのだ これ以上聞いたら変に思われてしまう、かも知れない。

チュララ
「これからどうするの? フィアア。」

???
「え・・・・。なんでその名前を?」

チュララ
「知っていたよ、君のこと。こうやって『観光』のふりをしてこうやって世界中、宇宙中を旅している素敵なケロン人。」

フィアア
「・・・・、どこでそれを。一体誰に!」

チュララ
「甘く見ないでね。お父さん達の情報網、あちらのミググさんのことも調べ済みなんだから」

そう言ってチュララは私に一枚の紙を差し出した
そこにはこう書かれてあった『旅人を捕まえよ』と

チュララ
「命令、なんだけど捕まえない、面倒だし、お団子も美味しかったし、ね」

フィアア
「驚いた。 でも怒られないの?」

チュララ
「あ、大丈夫。 心配いらないよ〜。ま、嘘でもつけば大丈夫だしね」

こうして私の名前は何の予告もなくバラされてしまった
上手い嘘ももっと考えるべきか、と反省する

空はもうすっかり夕暮れ 

私は愛歌とチュララに別れを告げた
二人は仲良く帰っていった 

後になるが またこの2人とは別の関係で言うまでもないが


__________

ミググ
「お嬢様?・・・お嬢様、起きてくださいな。夕食の時間ですよ」

フィアア
「え? あ? お団子は? チュララは?」

ミググはため息をついて 
「今は春じゃないですよ」と言っていた

どうやら長い昼寝をしていたようだ こちらのホテルからも夕暮れが綺麗に見えた

まだまだ調べることは沢山ありそうだ 
そう思い私は日記を閉じた  
                   

_________とある上空

???
「船♪ 船♪ お空を飛ぶ気ままな船よぉ〜♪」


                           続く・・・