鏡の中の世界

君は一体どこにるんだい?

あれからひとりで何をしてるんだい?

僕たちの大切な世界でたった一人の妹・・・

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???
「な〜に? ジスス、また考え事ぉ?」

ジスス
「・・・あのねぇ〜リュナナ、君もいい加減しつこいよ。」

リュナナ
「・・・しつこい って失礼ねぇ〜。 あたしだって忙しいんだからぁ〜」

ジスス
「忙しいって、僕にはそういう風には見えないんだけど」

「つまらない、部屋に戻る」そう言って彼女はまた気まぐれで暗闇に行ってしまった

ルヴァヴァ
「ようやく行ったか」

ジスス
「兄さん、まさかリュナナがいなくなるのを・・・」

ルヴァヴァ
「それ以上は言うな、察してくれないか。」

まぁ、性格が苦手なのはわかるんだけど
僕もあのつかみどころが無い性格は苦手だ

それはさておき、

ジスス
「何か用なの? まさか、他のところに偵察に行けなんて」

ルヴァヴァ
「言わんよ・・・、それより、情報だ。」

ジスス
「・・・何の?」

兄から聞いたのは 妹が生きていることと無事に暮らしていること
場所とかどうなったかは不明だったが それでも喜んだ

ジスス
「ところで、誰の情報だい?」

ルヴァヴァ
「知りたいか?」

???
「2人とも何の話をしてるんだ?」

ルヴァヴァ・ジスス
「む・・・」
「あ・・・」

そこに現れたのは暗闇でわからないが彼の声だった
僕らをここに導いた歳もそう変わらない青年

どうやら会話を聞かれたらしい

ルヴァヴァ
「貴方のようなお方が、盗み聞きとはどうかと。」

???
「いや、失礼。 あまりにもルヴァヴァが深刻そうなんて滅多にないからな。」

ルヴァヴァ
「・・・・あのですね。」

ジスス
「レドド様ってそんな趣味があったのですか、これも知識としておきますかね」

ルヴァヴァ
「よせ、なんて悪趣味な。」

ジスス
「さて、そろそろあの子達におやつでもあげてくるかね〜」

「それでは」といってジススはどこかに行ってしまった

レドド
「相変わらずだな、思わんか? 他の動物に懐かれるなんてね」

ルヴァヴァ
「昔からですよ、それより、ここに来た目的は他にもあるんですよね? レドド様?」

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リュナナ
「つまーんない、つまーんない!!」

リュナナは暗闇の中を一人で歩いていた
朝も昼も夜も無い世界 時間さえもわからない世界

リュナナ
「本当に・・・つまらない」

そういって近くにあった花瓶を握った

ミシミシ・・・・ パリン

手の握力で花瓶は粉々になってしまった

リュナナ
「ふーん・・・つまらない、どうしてすぐに壊れてしまうの? あたしが気に入らないの?」

???
「つまらなくないですよ、リュナナ。」

リュナナ
「・・・・なんだ、あんたか。」

ディアア
「世の中、楽しい事なんてたくさんありますよ。」

そう言ってディアアという薄桃色のケロン人はハンカチを差し出し
花瓶を握った方の手を優しくふきはじめる
白いハンカチは段々紅く染まっていく

リュナナ
「あんた、旦那からもらったやつ汚していいのか? あたしのために。」

「大切な仲間・・・いえ、大切な家族ですから」ディアアはそう言ってまた丁寧にふきはじめる

ディアア
「魔法で治すのと、こうやって丁寧に治療するのだと大違いがある、と私は思います、さぁ、ジュナナのところに行きましょう。」

リュナナ
「・・・いいよ、迷惑だと思うし・・・」

そう言って手を離そうとしたが 彼女は首を横に振っていた
表情は「ダメですよ。」と優しく叱られたようだった 自然にあたしは彼女について行く事にした

「暗いですね」 そう言ってディアアはパチンと指を鳴らした
辺りは明るくなったゆかにはレッドカーペットが敷かれ天井にはシャンデリア壁には窓一つなしの神殿
窓が無い代わり所々に鏡があった

でも普通の鏡ではない 自分が写らないのだ  

基本普通の鏡だと自分が写り動作をすれば鏡の自分も同じ動作をする これは当たり前のこと

鏡にはこんな言い伝えがある 鏡には神がいる かがみと言う字から「が」と言う字を抜くと「神」
日本だけの考えなのかはわからないがそんな説を耳にしたことがある

自分が写らないといったが 彼ら、彼女らは吸血鬼ではない
吸血鬼は鏡に映らない どこかで聴いた事がある一部の説

でも上の説とはまったく違う
ここの鏡に映るのは外の現実の世界 自分の居るべき世界
海だろうが、山だろうが、街だろうが、天国か地獄だろうが
自分が今居る世界が写るのだ

リュナナの場合牢獄が写る
鏡の向こうには妹が泣いていた


「暗いよ〜 怖いよぉ・・・・ お姉ちゃん、どこなの?」

ここから出たい 何度も思った でも今は無理な事だとわかっていた

リュナナ
「鏡、嫌い・・・・妹、悲しんでいる。」

ディアア
「妹さんですか?私には見えません。 それは貴女の世界ですからね、いつか帰るその日まで」

会話をしているうちにジュナナの部屋に着いた

ジュナナは「また?」という顔で迎えたように思えたが
人形にすぐに薬を準備させた

ジュナナ
「ドールA89、ありがとう。・・・・はい、手、出して」

彼女は人形使いでもあり薬の調合が上手い
ネーミングセンスがないわけではないが、たくさんある人形にいちいち名前などつける暇が無いと言っていた
現在その数2000を越える・・・いやそれ以上。

人形から渡された薬は間違いなく切り傷用の薬だった

ジュナナ
「薬は塗っておいたわ、傷口すぐ閉じるわけじゃないから、一応包帯巻いておくわ。」

リュナナ
「・・・邪魔だわ。」

ジュナナ
「・・・あ!そうそう、ドロン星で流行った 激辛唐辛子蟷螂(カマキリ)の鎌と飛蝗(バッタ)の尻尾和え。これ以外に効くのよ、これがいい?」

リュナナ
「・・・・・」
(カマキリ?バッタ?聞いた事ないものばっかり・・・)

ジュナナ
「他には・・・激辛味噌薬風味蜂の針と蛞蝓((なめく(P-))入り、これはケロン星だったかしら?舌が大火傷になるんだったわね。塗る?」

リュナナ
「い、いいや。 ほ・・・・他には? もっとまともなの。」
(・・・ケロン人が蛞蝓入れるなんて聞いたことない)

ジュナナ
「じゃあ、塩でも塗る? マロン星海水100% 効き目抜群。泣く子も笑う子も黙る塩加減よ。」

リュナナ
「・・・遠慮しておきます、 包帯でお願いします。」
(くぅ〜どこまでドSなの!? 患者に、塩塗るなんて!!)

ジュナナ
「本当に塗らなくてもいいの?特効薬・・・。」

リュナナ
「結構です・・・。早く治りそうなので、ほら!」

そうやってリュナナは手を開いたり閉じたりした
「じ、じゃあ戻るわ。」そう言ってジュナナの部屋から出た部屋の外ではディアアが待っていた

「終わりましたか?」彼女は質問する
「この通り」そういって手を見せた

ディアア
「では、行きましょうか・・・」

そしてまたリュナナたちは暗闇の中へ消えていった