第3章 第2話 夢の国の夕暮れ

ネララ
「ねぇ、あんたの名前は?」

空はもうオレンジ色の夕焼け
東の空は星が浮いている

???
「わたしの?」

ネララ
「うん。 うちの事はさっき言ったし、あんたのも教えてよ!」

彼女は少し悩んでいたが数分後ようやく口が開いた。
名のるのか! 少し、いやかなりの期待を胸にふくらませネララは彼女の顔をのぞく。

???
「リ・・ココ。リココだよ。」

そう彼女は言いながらガリガリと地面に自分の名前を書き始める。
目が見えないのにかなり丁寧な字がつづられている。

ネララ
「お! リココね・・・いい名前!」

リココ
「本当? おかしいよね・・・ひらがなじゃないのに。」

ネララ
「・・・・ん? リココ、あんた目が見えないのに何で字が書けるのさ? ウチなんか字なんて読めないのに。」

リココ
「え・・・読めないの? じゃあ、さっきは・・・」

声で分かったのね、彼女を傷つけないようにリココは察した。

ネララ
「ウチだってひらがなじゃないよ。 しかし、いいなぁ〜字が書けるなんておまけに読めるのも・・・。」

ネララはリココの書いた字を興味深く見ているおそらく読めはしないがかなり興味がそそられた。
次第にネララは自分も書きたいと思った様にリココは声のトーンでそう感じた。

???
「リココ〜? どこにいるのぉ〜?」

リココ・ネララ
「!!」

遠くから女性の声が聞こえたどうやらリココを呼んでいるらしい
当然リココは目が見えないので時間や景色も分からない。

リココ
「! みまま様の声だ!」

ネララ
「みまま・・・。」

みまま
「あらあら・・・そんなところにいたの? もう夜になるから帰りましょ?・・・ってそちらの。」

ネララ
「・・・・。」

ネララはみままを睨んでいる空気が一瞬凍ったように思えリココは身震いをした。
と、同時に晴れていた夕暮れの空は黒い大きな雲に包まれ始める。
雨が降りそうな予感がした、とっさにみままは寒さに震えるリココの手を強く握る。

みまま
「・・・厄神・・・いつの間にここへ?」

ネララ
「うちの勝手だよ・・・。 ここもやっぱりダメなのか、ウチなんて生きている価値すらないんだね。」

そうつぶやくと突然矢のように大雨が降り始めた
リココの体調を気づかうみままはとっさに自分の周りにバリアをはる。

ネララはずぶぬれになりながら空を見上げる。
あまりに突然のことでリココは言葉も失う。

ゴロロロロロ・・・・・
雷が鳴り始める。

ピシャッ
また激しい光が雲を走る
ここに落ちるようだ

そう察したみままはリココの手をひいて逃げようとしたがリココが動かない。

みまま
「!? どうしたの? 逃げないとあなたが雷に撃たれて死んでしまうわ!」

リココ
「ネララは? ネララはどこ? 一緒に、一緒に逃げるの!」

どうやらリココは雷を操っているのはネララとは気づいてはないようだ。

みまま
「! あれは厄神よ、近づくなとあれほどいったはずなのに。」

リココ
「嫌、私・・・私はネララと一緒が・・・・一緒がいいの!」

ドドドーン
だいぶ近くに雷が落ちた。


_________夢の国現在

みまま
「3人 来たわね、それじゃあ始めましょうか?」

ここはみままの屋敷この国では一番広い畳敷きの部屋
外の園芸ではモミジが美しく紅葉とした葉を揺らしている。

ネララ
(嗚呼、お説教が始まる・・・一体何年ぶりなのだろうか)

ちるる
(嗚呼、我、一生の不覚。)

トネネ
(ふん・・・自業自得だろうが・・・客に刃をむけるなんて。)

三人があまりにも深刻そうな顔をしている様子をみたみままはいきなり笑い出した

みまま
「っ・・・ふっ・・・あははははっ・・・あら?・・・ふふふ あなた達説教だと思ったの?」

笑とともに涙も出てくる それほどおかしかったのだろうか?

3人
「!?」

みまま
「いやだ〜お説教なんて面倒くさいに決まってるじゃない、それにこっちも嫌なのよね・・・。ふふ あははは」

予想外の展開に3人は目を丸くするばかりだ。
じゃあ、いったい何のために?
首をかしげる三人。
同時に向こうの部屋に向かってみままは誰かを呼んだ。
向こうのふすまが開いてこれもまた巫女に近い服装をしている女性が部屋から出てきた。

???
「お・・・お呼びですか? そんな大声出さなくても私にはきちんと聞こえてますよ。」

みまま
「5秒遅いわ、いつもは3秒遅いのに・・・。」

???
「・・・あのですねぇ・・・さっきからいきなり笑い出してお客様方が可愛そうですよ?」

ため息をつく暇もないツッコム暇すらもない場面に3人は顔を見合わせる。

ちるる
「いつもの事だ、気にするな。」

ネララ
「私がいない間に誰が一体彼女を招いたのですか?」

トネネ
(ここはおかしなやつが多い国だな、昔はもっと穏やかなはずだったのに。)

そこへ、らなながやってきた。

らなな
「すみません、遅くなって宴の準備終わってしまったでしょうか?」

ちるる
「おお、すっかり忘れていた、月一度の宴会が今日と言う事だと。」

トネネ
「宴会・・・わざわざそのために。」

じぃとトネネはとなりで正座をしているネララを見つめる
同時にネララは「私は知らなかった」のように目をそらした。

トネネ
「お師匠様・・・これはどういうことですか?」

ネララ
「・・・わ、私は知らない、知りませんよっ!べ、別にお酒が飲みたくてここに来たわけでは・・・」

トネネ
「嘘はおっしゃらないでください。 考えてていることすべてお見通しです。」

再びトネネはネララを見つめる。
これじゃあ逆らえなくなってしまう・・・それだけは避けねば。
おとなしくネララは白状した。


______
トネネ
「で? あいつは誰なんですか?」

トネネは自分の近くにいたらななに問いかけた。
このままの雰囲気では宴会はまだ始まりそうにない。

らなな
「え? ああ、あの方は私の先生でもあり母なんです、ここではなんですし私の部屋で説明します こちらへどうぞ。」

そういってらななはトネネを自分の部屋へと誘導する。

廊下の縁側を歩く庭がとても綺麗で真ん中に大きなモミジがあった
少し進むとこの屋敷に住み込みながら生活しているらななの部屋が見えてきた。

らなな
「少々汚い部屋ですがどうぞゆっくり。」

そう言ってふすまを横にひいた。
中はかなり清潔で畳敷きのごく一般的な部屋だった。

トネネ
「・・・綺麗。」

思わず気持ちを言葉に出してしまう。
こういうのはあまりない事なのだが・・・・

らなな
「そ、そうですか? それならいいのですが、なんか飲みますか? お茶ならありますが」

トネネ
「ん・・・緑茶ってもんあるか? 一度飲んでみたかったんだ。」

らなな
「もちろんありますよ、今用意しますね。」

らななは少し照れくさそうに笑いながら座布団にトネネを座らせた。
数分後  緑茶が机にうえに出された。 

トネネ
「お、いただく。」

一口、口にしてみる・・・感想は、初めてだったので苦かった・・・でも美味しいかった。

らなな
「ど、そうですか?お口に合いますか?」

トネネ
「ん、美味しいぞ。 初めて味わった味だな。」

そういって一気に緑茶を飲み干す。
この味 また体験してみたい。

らなな
「本当ですか!よかったです。」

トネネ
「しかし、宴会って話は聞いてなった、まさかあんな事でここへ来るとは・・・。」

らなな
「? どういうことなんですか? 私にも、よかったら聞かせてくれませんか?」

トネネ
「・・・今思ったんだが、何で敬語使うんだ? 同じ年ぐらいだろ?」

らなな
「あ、すみません、癖・・・というか下級の巫女は何に対しても敬語なものなので。」

トネネ
「ふーん・・・そうなのか。」

そういって部屋の窓の外を見つめる。
さっきまで昼だったのにもう夕焼け・・・か。

セララ達何してるんだろう・・・
何で私はここにいるんだろうか、何のために。

そんな事を考えるトネネだった。



______地球

一方、こちらは朝だった。

???
「うーん・・・よく寝たぁ。」

のびをして幼い主人はホテルの部屋のカーテンを開ける。
ミググはまだベットで寝ている。
もうしばらく寝かせておこう、昨日は・・・あんな事があって疲れたと思うしね。

そう思い
図書館で借りてきた白雪姫を読み始める。
相変わらず日本語はまだ彼女にとって難しい様だ。

???
「・・・ひらがな、もっと読む癖つけたほうがいいのかなぁ?」

窓の外は少し曇っていた
これからまたあの事について調べていかなくては・・・
そう思いながら幼い主人は白雪姫の絵本を閉じた。

幼い主人は次に手元に合ったガイドブックの表紙ををめくった。
四季独特のカラー写真とともに有名な観光地の見所などが文章でつづられてあった。
おそらく昨日ミググが買ったものであろう。
でも、あいにく漢字が読めない。

???
「・・・写真だけなら。」

そういってカラー写真に目をやる。
季節は春 なので桜の名所が載ってあった。

???
「へぇ・・・綺麗ねこの花、持って帰ってあいつにも見せたい・・・あ、でも見たことあるんだよね・・・あいつは地球生まれの・・・」

そこへミググが起きてきた
当然、早起きの主人をみて驚いている「普段は遅くまで寝ているのに」と言っていたような気がした。

ミググ
「お、おはようございます。お嬢様・・・ずいぶん早起きなさって、眠たくありませんか?」

???
「まさかぁ〜だって地球に来たんだよ? 眠ってられなんかいられないし、それにこの花・・・さくら? 見てみたいんだ!」

そういってガイドブックの桜の木の写真を指差してミググに見せる。

ミググ
「・・・目的とはずいぶん離れてしまうけれども、急ぐ事ではありませんし行って見てみましょうか。」

???
「じゃあ、決まりだね!」

ミググ
「では、朝食をきちんととってから行きましょうね。」

こうして2人はホテルの食堂へと向かったのであった。

 第3話に続く。
                  



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あとがき
編集が不定期に(^^;)
これはまずいぞw
(^ω^三^ω^)