妖怪VS魔女 後編

リュナナ
「・・・・結局、あいつ等なんなの?いきなり攻撃しやがって!」

と、いっても状況は変わらない あたしの目的も変わらないんだ
あの船に乗せてもらう事 だったら大暴れしてやるだけだ

リェノノには 悪いけどね ごめん

リュナナ
「オヤスミ。」

リェノノ
「やっぱり・・・そうするの、ね。」

そう言ってリェノノは眠り始めた
あたしは決して悪いことをしたんじゃないんだ

さてと
その魔女を倒せば今までやってきたこと全部変えられんだ
辛い過去も塗り替えられるんだ


あたしは一気に空に向かって加速した 体は徐々に上昇し始める

数分たってあたしは船に乗り込んだ
そこには魔女がいた あたしを待ってたかのように
魔女の周りには四人が立ちはだかっていた 戦う気は、なさそうだが

セララ
「ふふふ、ようこそ。」

魔女は余裕があるような顔であたしに歩みよって来た

リュナナ
「言っておくけど、ずいぶん余裕みたいだね。」

セララ
「あら? それは貴方の台詞(セリフ)なのでは?」

リュナナ
「? どう言う事よ!」

急に辺りが寒くなった なんなんだろうこの冷気?

セララ
「ずいぶん、私の仲間を遊ばせたわね・・・でも彼女らも楽しかったみたいね」

確かに四人には恨んだような表情は読み取れない

セララ
「自己紹介が遅れたわね、私はセララと申します。 貴方、妖怪ねまるであの人を思い出すわ。」

リュナナ
「そうさ! あたしは妖怪だよ! ケロン人を喰らい生きていくでもここにはケロン人はいないわね、まったく無駄足だったわ。」

セララ
ケロン人? ケロン人って、皆ケロン人じゃない。」

ミムム
「種族、が違うって言いたいんじゃないの? ま、私も幽霊だけどね。」

リュナナ
「細かいことは言うな!さっきから余裕ばっかり! 一体おまえらってなんなんだ!!」

トネネ
(・・・私は食べられてしまうのか。 嫌だな妖怪に食べられるなんて)

セララ
「ずいぶん、怒ってますね、何があったか聞いてみたいんですが、これでは無理ですね。」

そう言ってセララはリュナナに手をかざした
さっきの冷気が一気に増していく

リュナナ
「! こ、これはっ!?」

気づくとあたしは氷の空間に閉じこめられていた 寒い まるであいつを思い出すような 桃色に染まる一面氷の花が咲き誇るような
でも彼女は紫色色の花を咲かせるような感じに静かに花を咲かせたようにあたしの周りを一瞬にして染め上げていく

セララ
「どぉ?綺麗でしょ?氷の花は一瞬にしか咲かないの見れるのはほんのわずかな時間だけ。」

リュナナ
(・・・まばたきをして見ていなかったがもう一度だけ見てみたい・・・ハッ!)

不利な状況は変わらない あたしは負けししまったのか。
あれだけはりきったのがこんな短い時間で破られるなんて
本当に時間の無駄だったのか どうしてこんな事までして
あたしの考えていることは無駄だったの?
強くなるって言うのにこれだけ努力したのに意味がなくなったの?

セララ
「・・・・降参しますか?」

リュナナ
「ま、まだ・・・」

セララ
「その氷の結界は私にしか解くことができないのです、何時間もいると体を悪くしますよ?」

リュナナ
「・・・おまえは・・・どうして!?」

セララ
「ん? どう言う事でしょうか?」

リュナナ
「おまえは・・・・おまえはどうしてこんなあたしにまで優しくするんだ!? あたしは妖怪だぞ! 恐ろしくないのかっ?怖くないのかっ? なのに・・・・なんで。」

あたしは気づくと涙を泣かしていた 結界の中は寒い 本当に寒い 息をするたびに白い吐息が漏れ出す
スキル能力が高いあたしでも数分いただけで凍え死んでしまいそうだった

セララ
「妖怪だろうと、ケロン人だろうとそんなの関係ありませんよ みんな自由に生き生活をする差別なんてここの世界にはない・・・はずです。」

あたしはしばらく黙って魔女の言う事を聞いていた
彼女の言葉にはなぜだか暖かさが感じた 今日まで生きてきた中で一番の温かさを
彼女は言葉を続ける

セララ
「ここにいる私の大切な仲間であり、家族同然のみんなも仲間になる前そんなこと言ってました。 「どうして優しくするの」とか「自分はこんな身なのに」とかとみんな、みんな言っていました、自分が傷つくだけなのに辛い過去を打ち明け心を開いてくれました。魔女の私に、かつて大罪を犯した私にも・・・ね。」

不思議だ 彼女の見る目がまるで何かに包まれたような
お母さんを思い出すような 不思議な気持ちだった
さらにセララは続ける

セララ
「でも、私は軍人は許せないんです、これがどうしてもなのですよ、おかしいですよね? さっき言っていた言葉に矛盾することは自分自身よく知っているはずなのにあの人たちだけは受け入れられない、どうしてこの世に争いが必要なのでしょうか? 傷つけ 殺し合いで何が生まれるのか本当に考えている事がわからなくなってくるんです。 侵略されたところは当然恨みを持つはずです、悲しむ人々も出てくるのも当たり前だと思うんです。違いますか?」

リュナナ
「・・・いや、よくわかる。 おまえ、本当は嫌いなんだよな?」

セララは少し黙ったあと「えぇ。」と言っていた
しかし、ずいぶん時間がたったものだがあたしにはそうは感じなかった この人ならあたしの気持ちも理解してくれるはずだと思い始めた

セララ
「すみません、話が長くなってしまいましたね。 ここから出してあげます、もし良かったら仲間、いえ 家族になりませんか?」

他のメンバーの顔も微笑んでいるようにあたしには見えた
この笑顔に嘘はないはず またあたしは笑って暮らせるんだ

この人になら悩みを打ち明けられるだろう 嘘は言ってないと思う。

セララ
「そう言えば貴女に妹さんがいませんか? 寝ているはずの・・・」

リュナナ
「あ・・・。」

寝せたままだった またあたしは妹を守ると言うか傷つけている
自分の行った行為が正しい・・・はずの事が逆に傷つけている事になっている 最低な姉だ。

セララ
「その子はどこにいるの?」

リュナナ
「ここにいるんだ ここに。」

あたしは術を解いた
船の柱にリェノノは倒れていた(眠ってるだけなのだが) 

あたしの力は物を眠らせ景色や背景に馴染ませ見えなくする簡単に言うとカメレオンみたいなもの
見えないはずのものを見えさせたりすることも可能なのだが使いすぎると体に負担がかかる

セララ
「・・・寝ている、だけですね では」

そう言ってセララは呪文な物と詠唱し始めた
たちまちリュナナは起きた 不思議だ、あれほど深い眠りの魔法をかけたはずなのに この人は本当にすごいのかも知れない

ミムム
「相変わらずだよね、魔法ってそんなに便利なものなの?」

セララ
「私の場合、体に負担がかかるのではないのですよ。普通の魔法使いは基本体が弱い方や病気もちの方、寿命に負担がかかる方が多いのですが、ほら、あれですよ。皆若いころの年齢の時に自分の体に魔法をかけてしまうのですよ・・・・私もそうですが」

トネネ
(じゃあ、BBAなのか・・・魔法使いって面倒。)

ネララ
「トネネ、聞こえてますよ。」

トネネ
「ん? 私は何も言ってないぞ お師匠様。」

リココ
「さあ、また新しい家族が増えましたね、あぁ、朝食がまた増える 食費変えなきゃな〜」

そんなこんなで あたしたちはここですむことになった
それから毎日が嘘のように変わった  

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現在

あたしはミムムと船の展望台にいたここはお気に入りの場所の一つでもある
夜空が本当に綺麗だ あの日の夜を思い出す もう何年も前のことだろうか

リュナナ
「あれからずいぶん時間がたったな〜 始めは緊張していただけなんだけどな〜 少しつまらなくなったな〜」

ミムム
「ずいぶん大きい態度とるようになったよね、本当に緊張していたのか?」

リュナナ
「失礼な! これでもしていたんだぞっ!」

ミムム
「はいはい、わかりました、わかりましたよ〜」

本当に変わった あの人も自分の生活も生きる道筋も本当に 
生きるのが楽しくなったと思う

何よりこうやって仲間と過ごすことが 
あんなに信じられなくなっていたケロン人が と言ってもここの住人は少し変わり者ばかりだが

リュナナ
「ん、そう言えば ここの連中ってケロン人じゃないいよな? まぁ、細かいことは気にしないが種族と言ったほうがいいのか? よくわからないんだ、教えてくれない?」

ミムム
「え・・・珍しいね、君が教えてくれだなんてさ。」

リュナナ
「べ、別にいいじゃないか! 知らない事だって有るんだよっ!」
(くぅ・・・完全にからかわれているじゃん!)

「仕方ないな〜」と言ってミムムは話し出す

ミムム
「ま、ケロン人といってもみんな同じなんだけどね〜。あたしは幽霊だし、足とかは有るけど亡霊かな?どっちだろう。ネララは神様なんだって驚くよね〜、でも厄神だからろくな事ないよ、あたしだって実際ひどい目に遭ったよ・・・リココは・・・ん、なんなんだろう?よく解らないと言うか詳しくは知らない。セララは知っているんじゃない? トネネは珍しくケロン人だね、変わった性格だけど、会った時は妖怪かと思ったな〜。セララは言うまでもないよね〜」

リュナナ
「リココって眼帯しているんでしょ? なんでさ?」

その質問にもミムムは黙っていた わからないといいたくないようだが
あたしはそんなにも期待はしてなかった

ミムム
「寒くなったね、そろそろ中に入ろうよリュナナ。」

リュナナ
「うん、そうだね 入ろうか。」

ミムムの背中はいつもと変わらない
あの日の夜と変わらない

 
ずっとこのままでいようね もうずっとこのまま一緒にいたいね
これからもよろしく あたしの大好きな仲間たち



                        END