過去 後編

父が死んで5年がたとうとしていた

当時5歳だったわたしは10歳に

妹は5歳になった

母は昔と変わらず優しく私たちに接してくれた
でもその笑顔の奥には深い悲しみと怒りに満ちているはずだろう

ある夜の事
母は私たちを集めた

一体何が始まるのだろうか?

リェノノは眠たそうに眼をこすっていた
そうだよね、まだ5歳だからだよね・・・わたしの・・・

主人(マスター)



「眠いのにゴメンね、さぁ始めるわよ。」

リェノノ
「・・・お母さん何をするの?」


「転生の術を・・・」


リュナナ
(転生の術・・・聞いたことがある、人が他の人に生まれ変わる術の事だとお父さんが言っていた)

でも・・・・どうして?

リェノノ
「なにそれ?」


「まだ、リェノノはわからなくていいのよ・・・さぁ、」

母が呪文を詠唱し始める

ま、まって!
それを始めたらお母さんがいなくなってしまうよぉ!

リュナナ
「お、お母さん! 待って!」

恐怖と不安でわたしは叫んでしまった
集中力が切れたのか詠唱を止める


「・・・どうしたの?」

リュナナ
「待ってよ!・・・待ってよぉ。」

自然とわたしは泣いていた
大粒の涙が頬を伝った

母は笑っていた今までみた一番の笑顔


「2人ともいらっしゃい。」

そういって泣いているわたしとリェノノを抱いた
ああ、安心できるお母さんの・・・温もり

ずっとこのままでいたい


「♪〜〜♪〜〜♪〜〜〜。」

子守唄
ずっと昔から聞いていた・・・

聞き終わったときにはもう母はいなかった
転生の術は無事に成功したようだ

最後に聞けてよかったよ

「アリガトウ」 と

これが母との別れでもあり
ともに生きていく唯一の方法

わたし達の中で生きていくんだね
ずっと、ずっと一緒だよ お母さん



そのあとわたしはリェノノと一緒に泣いた
涙が枯れはてるまで

リェノノはこのことを理解はしてないはずだろう
まだ小さかったからだよね

転生は成功したって言ったけど
一体どう言う事だろうか?

生まれ変わるのではないのだろうか・・・

でも、何に?

____

それから五年後

あたしは15歳に

妹は10歳に

どうしてだかわからないがあたしの一人称は変わっていた

考える事も昔と大幅変わってしまった

あと耳飾も変わったと言うか、変化した
右には紅い鉱石 右には青い鉱石

昔母と父がつけていた物(多分、互いに送ったもの)と確信していたが・・・
なぜだろうか?

まぁ、気にっていたのでよかったのだが・・・

リェノノ
「お姉ちゃん 今日はどこに行くの?」

リェノノは相変わらずそのままだった

でも不思議な事に母が転送を終えてちょうど1年たった朝のことだった
リェノノに異変が起こった

それは妖怪を倒す事のできる妖刀(ようとう)っを使うことができる能力と
人の前世をみる力

前世をみる力はきっと母から譲り受けたものだとあたしは確信した

妹はあたしをおいて段々妖怪らしくなった

父が言っていた通りだ

でも、妖怪なのに・・・どうして妖刀を?

リェノノ
「お姉ちゃんってば!」

リュナナ
「! ご、ごめん 考えすぎていたよ。」

リェノノ
「・・・疲れているの?」

リュナナ
「そんなわけでもないよ、あたしは大丈夫。」

確かにあたしは疲れていた
妹の世話はもちろん常に妹を守るのがあたしの使命

特にリェノノはまだ10歳
感情の制御も出来ないし、おまけにもすぐに顔にでる

苦しても、悲しくても、痛くても すぐに泣いて・・・

でも笑ってるときはすごくかわいい
みているあたしも嬉しくなる

ずっとこのままでいられたら・・・いいんだけど、ね

悲劇は次々とやってくる

その晩・・・・

カツン・・・カツン・・・

リェノノ
「!! お、お姉ちゃん・・・何か聞こえない?」

リュナナ
「・・・聞こえる・・・聞こえるよ。」

あたしは隠れも逃げもしなかった

ここで隠れたり逃げたりしたら
絶対にまた同じ事が起きる 歯車ってそんなもの

リェノノは今にも泣きそうだった
あたしはリェノノを見つめる

可愛そうに・・・あなたは普通の人になればよかったのに
どうして・・・どうして?

徐々に足音が近くなる

ばりっ

勢いよくドアが開いた と言うよりは壊れた感じだった

男1
「いた、ここにまだいたぞ!」

リェノノ
「ひっ!」

リュナナ
「ここに何の様だぁ!」
抵抗はしないあたしは思いっきり男2人を睨みつける
リェノノには怖い思いをさせたくないが・・・

男2
「妖怪ごときの化けモンがいい気になるなぁ!」

リェノノ
「あ・・・あぅ、おねえゃ・・・怖いよぉ。」

男はリェノノを捕まえようとした
逃げるリュナナ

ここで殺す気か?
そんな事させるか!! 

リュナナ
「妹に手を出すなあぁぁぁぁ!」

あたしは腹の底から叫んだ

触れるな! お前らは汚れている生物なくせに!!

あたしは震える妹をそばによせ強く抱きしめる

あたしが、あたしじゃなきゃリェノノは守れない!
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それから
あたしたちは暗くて狭い牢屋に入れられた
男が言うには魔女狩り・・・いや妖怪狩り(妖怪退治)だそうだ

陰陽師なら理由はわかるがこいつらの目的は
金や奴隷など 他にも欲望に塗れたくだらないことだった。

リェノノは泣いていた
当然、手錠や足枷をつけられたからだろう
いや、他にもあるはず あたし達から笑顔を奪ったから

そんな事はあたしは予言もしていた
父から最後に聞いたあの言葉の通りだった

いつかあたしたちは捕まるだろう
そして××れるんだって

でも、ここで簡単に死ぬわけにはいかない

あたしはある手段をリェノノに伝えた
口では言えない
だから地面に書いて説明した

すべては あなたをお守りするため・・・

リェノノ
「・・・こんな事で、大丈夫なの?」

リュナナ
「大丈夫よ、きっと成功する だから待ってて あたしは強くなるために。」


リェノノ
「・・・どれぐらい時間がかかるの?」

リュナナ
「わからない、だけど絶対ここにいて。」

どんなに時間がかかっても どんなに辛い事があっても

あなたなら・・・あたしの主人だから

あたしは思いっきり牢屋の窓を拳で殴った

拳にはガラスの破片が刺さって血が滲んでいたがすぐに再生した

幸い、やつらにはこの音が聞こえてなかったようだが

リュナナ
「行ってきます、我が愛しの主人(マスター)どうぞお体に気をつけて。」

その言葉を行った後あたしは大空へ飛び立った

リェノノ
「あなたも、気をつけて・・・私の・・・」


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時は現在に戻り
あたしは20歳
妹は15歳

結局あれから5年のも月日がかかっていも妹を助け出した
少し情けないな・・・もうちょい早めに助ければよかったな。



リェノノ
「捕まった事・・・よく覚えてないなぁ〜」

リュナナ
「ゴメン、あたしもだ。」

お互いに笑う

リェノノ
「でも、助けてくれてありがとう。」

リュナナ
「ま、当然の事でしょう?」

船が段々近づいてくる
でも、どうやったら仲間にしてもらえるだろうか?

まぁ、考えるまでもないが・・・・ね

__________

???「せ、セララ様! こっちに何かが近づいてきます!」

            続く