脱走兵とコーヒー

???
「着いた〜 着いたよぉ〜」

そう言って謎の少女は船に降り始める

ミムム
「ん? あれは、まさか・・・」

???
「ふぉう!ミムムじゃん! おひさーぁ。」

ミムム
「誰だっけ?」

???
「酷いなぁ、シウウだよぉ。忘れたの?」

「うん」とすぐに答えられた 正直悲しい
ここに帰ってきた目的は結構、いや山ほどある

ミムム
「あ、思い出した!思い出したよ。脱走兵シウウ!先日新聞に載っていた、しかしまぁ、派手だよね」

シウウ
「何が? え、まさか格好? 嫌だなぁ〜そんなに派手な」

ミムム
「何言ってるの、脱走の仕方だよ、完全に指名手配じゃん。新聞にガッチリ載っていました!」

そう言ってミムムは新聞記事を私に押し付ける
内容はこう書かれてあった

脱走兵シウウ ケロン軍データ全持ち出し これを切欠に指名手配する

先日の昨夜無断で作業場に入りハッキングを行い何の目的かわからないが今までのデータをコピーし防犯カメラに悪戯をして逃げたという。なお、被害者はいないが今後脱走兵を見つけたものには賞金(pー)万円を渡す 見つけたものはすぐに警察、軍、政府に知らせるように。 

後は電話番号などがつづられてあった

との事だ 証拠写真のは私がピースをした写真が飾れてあった


シウウ
「おう! 派手だね〜 あ、私かこれ」

ミムム
「相変わらずバカだね、君は、その犯罪者がいるんだ」

シウウ
「む、バカってことはないでしょ!こっちもこっちで忙しいから。」

セララ
「騒がしいですよ、ってあら?シウウ帰っていたの。」

シウウ
「お、セララ 今帰ったぜ! どうでい、私の犯罪はっ!」

「威張るものではありませんよ」と笑顔で怒られてしまった

セララ
「ところでシウウ『あれ』は? 当然持ち帰って来たでしょう?」

シウウ
「勿論だぜ、ほれ」

そう言って私はカバンから携帯を出した これがメモリスッティックの役割を果たす
現代はスマホとか言う機械が多く使われているが私はあえて操作ミスの無い(個人的に)携帯を使う
携帯とは遠くの相手とも会話できる箱だ 他にもインターネットやメールなど電波による仕組みでいろんなことができる
勿論、私は悪用した目的で携帯を使っている、すべてはセララのためだった

セララ
「相変わらず、ね。 少しの間借りるわ。」

シウウ
「ん? 全部焼き払っても構わないよ 私には必要ないし」

セララ
「せっかく、買った貴方の携帯よ? 良いの?」

シウウ
「あーそれデータ用だもん。 いらない」

ミムム
「じゃ、また何日間か出てこなくなるの? セララ様。」

「まぁ、そんなことになるわね」といってセララは自分の部屋に入っていた
これから始めるのはデータを自分の脳内へ送り込む高度で難しい作業
ケロン軍の『歴史』『軍事力』『人口』『状況』『技術力』『文明』など
それを今度は『魔道書』に書き写す これでいつでも軍がどう動くか把握できる
この作業時間およそ一週間 飲み食いもせず生きられる体こそできる至難の技だった
私はこの人が羨ましい

ミムム
「さぁ、私たちも行こうよ。」

シウウ
「ういーす。 あー腹減ったな〜」

食堂へ向かう 懐かしいなこの船はかつて私が創ったものだった
まぁ、セララの魔法もあってだが

食堂にはお馴染みの仲間がいた 数年ぶりで懐かしく思う

今日はカレーライスだった

リュナナが口を開いてきた

リュナナ
「で? で? 人を殺したのか?」

シウウ
「あのね〜、私は人殺しはしないよ? 専門じゃないし、妖怪でもないし」

リココ
「食事中に、まったく」

リェノノ
「妖怪、今でもいますか?」

シウウ
「妖怪ね〜 最近は減ってきているよ。」

リェノノ
「そうですか。 でも人を襲うことはしないと思うのに、何でだろ」

リュナナ
「人を襲って何が悪いのよ、それが妖怪でしょ? そうしないと生きてけないよ?」

リェノノ
「それもそうだけど、私たちは例外だよね」

リュナナ
「そうだね、ま、ケロン人の血は流れてるだからかね?」

ミムムはカレーに夢中で会話には入ってこなかったがこちらの話を真剣に聞いていた

食事が終り 私はリココに今までのことを話す
彼女とはここで出会って 結構長い 親友みたいな感じ
まぁ、この子も色々と厄介ごとがあるのは私とあの人だけが知っている



今気づけば ネララとトネネがいない
彼女に訪ねてみた

そうすると彼女は
「修行だって」それだけだった

ふむ、何か理由があるようだ
深くまでは聞かない 頭のなかがごちゃごちゃするのは嫌だから

私はこの数年間ケロン軍にいたことをすべて話した
嘘をつくのはあまり好きではないしオマケに苦手だから

『言霊(ことだま)』は時に物事を大きくし
そして苦しめる ある体験でわかったから

ミムム
「コーヒー飲まない?」

船の中からミムムが現われた
珍しいな、普段は自分は多く飲もうとマグカップが4つあるはずなのに
今日は3つ 自分の分と リココの分 そして私の分

リココ
「珍しいね、自分からなんて。 今日は何? リュナナのとこ行かないの?」

「寂しがるわよ〜後で抱きついて来るかもw」と私も面白半分でマグカップを受け取った

ミムム
「抱きつきまではしないと思うな、はっきり言って勘弁して欲しいよ。」

リココ
「もったいないわね〜 妖怪から好かれるなんて。」

ミムム
「君だって、厄神様に愛せれてるんじゃなかったの?」

リココ
「? 一体誰の事?」

一瞬、場の空気が冷たくなった そんな気がした
まさかとは思うが、記憶を?

ミムム
「まぁ、いいわ。これ飲んだら行っていますか。」

シウウ
「ひゅ〜 お熱いね。 羨ましいリア充めw」

「誰がリア充だっ!」そう頬を赤く染めてまた彼女は船の中へ戻っていった
久々に友をからかうのは楽しい なんと言うか本当に帰ってきたんだ

本当に軍にいたころとは大違いだ

上司や同士に縛られ 時間も自由もない軍生活
呆れる、本当に呆れる もっと自由が欲しい!!

私は軍の中では 手に余るほどいるエンジュニアだった 基礎しかできない
ただの落ちこぼれだった 

私はある意味軍が嫌いだ 戦いとかそんなのにはあまり興味はないが
人を、なんだと思っているんだ! 一つの命令で沢山の人が動く
偉い奴だけ最後に残り ただ何もできない上司が 手本もやり方も何もしないで
画面に映される 結果だけで 満足し喜ぶ
自分の軍の仲間だって 相手の敵だってどれほど傷つき苦しみ殺されたのかも知らないくせに

同時に私はオペレーターもやっていた
実戦はやった事がないが先輩の職務を見ていた

ヘッドホンを耳にあてマイクで戦闘兵にいかに正しく正確に情報を伝えるかがオペレータの勝負の世界

だが聞こえてきたのは 叫び声 だった 

人殺しめ  何が軍だ
利益しかお前らには見えないのか?
答えろよ!

私には怒りという感情しか生まれてこなかった

だから、私はある一人の女と手を結んだ
それが自分が『悪』となった日だった

一般の家庭に生まれた私
普通に学校に行き 友達もいるのに

一体 本当に どうしてだろうか?

そう思い 私はコーヒーを飲み干した
もうじき雨が降るだろう

私はリココと一緒に 船の中へ入っていった